漢方よもやま話

2013年03月07日

膝の痛み-サプリメントの持つ意義は?(1)ーー医食同源とは?

当院にかかっておられる初老の患者さんから、先日、膝が痛くなったので、テレビで宣伝している「コンドロイチン製剤」を買って飲もうかなと思っているが、どう思うか?と相談され、漢方をやっている者としては、複雑な思いが湧き上がりました。この思いを分析してお話しするのが、今回の目的です。まず第一に、膝が痛くなるのは歳を取ったからで、ひどい病気でお医者さんにかかるほどでもなく、薬局で簡単に買うことができるこのような「コンドロイチン製剤」を買って飲めば、簡単に治るというような内容が、そのテレビ宣伝での内容だろうというのが推定されるという事です。このことは本当だろうか?と、この患者さんは疑問に思わないのだろうか?と、医者の私は思ってしまいました。テレビで放送されるのが、いつも真実であるとは限らないというのが、“常識”であるにもかかわらず、自分に都合のよい(?)内容ならば、そのまま受け取ってしまうのは、いかがなものか・・・、と。 つぎに、たとえその内容が本当だと考えるならば、わざわざお金を出して、普段食べている食品に含まれている「コンドロイチン」を、ワザワザお金を出して買って摂取するするほどの物かと、どうして考えないのか?――テレビの、庶民の思考まで操作しているような話で、それこそ、一時期話題になった「マインド・コントロール」で、当事者のその患者さんにはわかっていないのだろうな、と思いました。――本当に恐ろしい話ですね! 第三の問題は、膝の痛みをどうすればよいのかという事に関して、あまり真実が知られていないのではないかと思われる事です。老人たちの情報交換で、整形外科に膝の痛みで治してもらおうと行って、あまり効きもしない電気温熱療法を勧められたとか、太っていることが膝の軟骨がすり減って傷む原因だから、痩せなさいと言われて、痩せたけれど全然痛みが取れない、とか言った内容が又聞きではありますが、話されているようです。 このような、整形外科の分野での現状に不満を抱いているゆえに、「コンドロイチン製剤」を買って飲もうという事とすれば、由々しき事態と言わねばならないでしょう。 このような現状に対して、漢方をやっている者として、少しでもお役にたてることがあるとすれば、それは、「医食同源」のお話と、膝の痛みは、漢方では「痺証」と呼ばれる病気であり、これは漢方で治る病気である、という事をお話すればよいのでしょう。さらに現代生物学が明らかにした、膝の痛みと、老化という事の関係を、少しでも知っていただければと、思います。 以上がイントロで、次回以後、すこしずつ本題に入ることにします。

ページの最上部へ戻る